2018年3月29日木曜日

ムベンガ再戦 その3

【2018年2月9日】マイピリ滞在8日目 ムベンガアタリ3、ウキバイト2

 8時頃、ザイールまで活魚を探しに行ってくれていたポンフィーが帰ってきた。収穫は大きなザンダが数匹に、ムスワロが一匹。


後から、以前に話をしたザイールの漁師がやってきて「ムスワロいっぱい採れたから、買い取ってくれ!」。小型が多かったので大きなものだけを選んで買い取り、2日分くらいの餌を確保できた。餌が揃ったところで早速釣りに出る。


 今日は曇り空で風が強い。下流側からの風が強ければ強いほど、岸側から沖側への流れの巻き返しが強くなり、仕掛けを沖の良い流れに留めておくことができる。どうやらこの下流からの風がムベンガ釣りのカギを握っているような気がしてきていて、その推測が正しいのなら、今日はまさに絶好のムベンガ日和。ウサギが飛ぶ激流を流れ下り、アツシポイントを通過して、さらに下流の「岩壁のポイント」へやってきた。岩壁が岬状に張り出していて、そこに流れの筋ができている。


少し晴れ間が覗き始め、下流からの風はドンドン強くなってきた。水中にアンカーを沈め、水面から顔を出す岩にも船を固定し、沖側と手前側それぞれに仕掛けを流す。ウキは速い流れの中しっかり留まっている。「これは来るだろ」と予感がした。


 投入してすぐ、沖側のウキの立ち角度がおかしくなった。水中の仕掛けが絡まって、餌がグルグル回転しているようだ。回収して絡まったワイヤーを解いていると、こういうときに来る。手前の仕掛けに食ってきて、「ギャーーーッッ」とクリック音が鳴り響いた。咄嗟に竿を手に取り合わせるが、空振り。「やっぱり予感が当たった!」「このポイントもイケそうだ」前回の旅でもこの岩壁ポイントで竿を出したことがあったけど、アタリはもらえなかった。新たな可能性を発見できた気がして、嬉しくなった。
 そして、手前側に仕掛けを流し、もう片方の仕掛けを沖まで流して竿を置いた瞬間、「ドゴン!!」と沖のウキに向かって水柱が上がった!結構デカいムベンガだ。そのまま仕掛けを流れに留めて約1時間後、「ドッバーン!!」という水面爆発と共に、スピニングの糸が凄い勢いで引き出されていく。竿を手に取りアワセを入れると、なんと、ラインブレイク・・・。回収してみるとまたウキに食ってきたようで、170lbのショックリーダーがムベンガの口の中に入り、噛み切られていた。


ラインブレイク直後、沖を流れていくウキを発見。急いで船を走らせて回収しに向かった。この経験から、ウキはショックリーダー部分ではなくワイヤーに通すように変更。新たな発見が多くて、釣りをしていて楽しい。


小物釣りをしていたアモコが25cm程のカンバを釣り、沖側のザンダと交換する。すると、流して10分ほどで小型のムベンガがバイト。じゃれついてきただけで針掛かりはしなかった。


完全に、ポイント、天候、流れ、全ての条件が揃って、運もこちらに向いてきている気がした。いつも寝ているか小魚釣りに夢中になってるバンバも、ずっと沖のウキを眺め続けている。でも、ウキを見ていてアタリが来たことって今まで一度もないな。「ノールックイズインポータント」と言って笑いあい、気づけばウトウト眠ってしまっていた。


「ギャーーーーッッ!!!」凄い勢いで鳴り響くクリック音に飛び起きて、そのまま竿に飛びついた。船から6、7mくらいのところに流していた仕掛けに食った!沖に流している方の糸の下をくぐり疾走するムベンガ。船べりに足を掛け、レバーをストライクに入れ、低い姿勢で振りぬく気持ちでアワセを入れた。最初こそは抵抗したけど、こいつも手前に走ってくる!必死になってリールを巻いた。


何とか手前への突っ込みをかわして、体勢を立て直す。ジャンプしないし、引き方からして体に掛かっていると思われた。たまにくる突発的な引きに耐え、ゆっくり巻いて、巻いて、すぐそこまで魚は寄ってきていた。


 必死でムベンガとやりとりしている最中、「ケンゴー、ケンゴー、ケンゴー」とアモコが後ろから何度も話しかけてくる。バンバに「なんて言ってる?」と聞くと、「He wants to move the boat」と言うではないか。ここでアンカーを解き放てば、流れの中でのランディングを強いられる(もしくは、岸まで魚を引っ張ってからのランディングになる)。アモコの網捌きじゃ、絶対に無理だ。つーか、意味わからん。もう魚そこまで来てんだよ!!!ムベンガの引きに耐えながら、「ノー、ノー、ノー!!」とアモコを制御したが、背後から「カチャカチャカチャ」と、アンカーを岩から外す音が聞こえてきた。

「ノーー!!!ノーーー!!!!ノーーーー!!!!!」

巨大なムベンガが船べりで水面に浮上するとほぼ同時に、僕らは激流へ向かって出船した・・・。「why!!!!?」と数回シャウトしたところで、もう迷っている暇はない。船が流れに飲まれる前にランディングを決めるしかない。


アモコにブチ切れて一気に冷静さを取り戻した。フックはムベンガの腹びれに掛かっていて、そいつはお腹を上にして水面に浮かんでいた。担架式ランディングネットで捕り込むには好都合だ。アモコがネットを構え、僕はムベンガを誘導し、頭から一気に滑り込ませた。二人でネットを閉じ、引きずり上げ、アモコと抱き合い、3人で吼えた!!



サイズはたぶん、120cmぐらい。重さは・・・25キロオーバーということにしておこうかな。とにかく体高が凄い魚だった。でも、最初の一匹ほどの感動を得られていない自分に気づき、「まだ、こいつでも終われねぇんだな」と思った(笑)


でも、最高の一匹だったよ。ありがとう、ムベンガ!!


いつも通り、「俺の写真も撮ってくれ!!」という彼ら(笑)。バンバが調子に乗ってまだ生きているムベンガの口に腕を突っ込み、抜けなくなって、腕が切り裂かれて大騒ぎ。全てがオーバーリアクションで、たまにイラっとさせられる(笑)。


アモコをどなり散らしたところだったけど、全部どうでもよくなった。お前ら、ありがとな!


ロッド:Dear Monster MX-∞
リール:Avet LX 6/3 MC Raptor
ライン:アバニキャスティングPE smp 10号
ショックリーダー:バリバスショックリーダーナイロン200lbを一ヒロ
仕掛け:自作ウキ+ワイヤーリーダーとして大洋ワイロン#30を90cmほど+トレブル4本仕掛け

 ムベンガを解体して、今日はこれで村に戻った。バッカンにバラしたムベンガを詰めて、村人にバレないようにキャンプ地まで運ぶというアモコ。「このヤローまた独り占めする気か?」と思ったけど、村人をビックリさせたかっただけらしい。バッカンを開けて驚くポンフィーに、「今朝とってきてくれたザンダで釣れたんだぜ!メルシー!」と言うと、すごく喜んでくれた。


アモコは彼自身の意思で、村人にムベンガの肉を配給した。子供たちがこぶし大の肉を受け取ると、バナナの葉っぱで包んでお家に帰っていく。いつもはテントの周りに村人たちがたむろしていて騒がしいったらありゃしないんだけど、今日は皆、家でムベンガを食べているのだろう。とても静かだ。村人への配給を終えて、大きく切り分けた肉をいつも通り燻製にしていく。


(ア)モコズキッチン、今日は別メニューも。まずは小さめに切り分けたムベンガの肉を油にぶち込む(一気に投入しすぎてて、カラっと揚がっていなかったのがマイナス点)。


そして一度揚げたムベンガ肉をローカルのトマトソースで煮込めば、「ムベンガのアフリカ煮」が完成!一度揚げた魚をトマトソースでアレンジする調理法は、アフリカの別地域を旅した友人からもよく聞いていた。これは美味しい!アモコの作る料理で、燻製とトマトソースのアフリカ煮だけは認める。日本でも作りたいと思える味だった!


2018年3月25日日曜日

コンゴの釣り旅話 その5

「コンゴ川の囲い網漁」

 ガソリンを探してマイピリ周辺の村々を当たって歩いていた時、岸辺で大きな網を張り、魚とりをしているじいさんに出会った。


近づいていくとそれはマイピリの村人で、「オー、ケンゴー!」と声をかけてきた。水際の水生植物を網で囲い、マチェットで草を切り倒しては囲い網の外に放り投げていく。ボサの中に隠れていた魚の逃げ場所をなくして、囲った網をたくし上げていって一網打尽にする作戦らしい!これは最後まで見届けたい。


しばらく見守っていると終わりが見えてきた。だいたいの草を切り終えたところで、徐々に回りの囲い網を絞っていく。


逃げ場をなくした魚たちはパニック状態に。「ドボーン、ドボーン」とボラのように跳ねまわっているのは、見た目もボラみたいなヘテロティスだ!「じいさん、獲物を逃がすなよ!俺にコンゴ川の珍魚たちを見せてくれ!」


普段ムベンガ狙いと同時に、ミミズを餌に珍魚釣りにも精を出してきたけど、本流で釣れるのは数種類のカラシンと、シノドンティスの類が多く、旅も終盤に差し掛かり、魚種は出尽くした感があった。でも、こういう止水のボサの中に隠れて生活しているヤツらは、本流のとはまた違った顔ぶれ。ワクワクが止まらない!


この狭い空間に、こんだけ魚がいたの!?魚影の薄いイメージが強いコンゴ川だけど、ちょっとびっくり。小型のモルミルスの仲間が一番多い。


ナイルアロワナ(学名 Heterotis niloticus)、現地名コンゴヤシカ。こういう止水に棲んでる姿は、僕の中でのイメージ通り。でも意外なことに、普段ムベンガを狙っている激流の中を群れで泳いでいる姿も見かける。「ミミズを流していたら釣れないかな?」とずっと狙っているけど、未だ釣れていない。


激流の表層を泳ぐ姿を見てアモコは「水面の虫を食べている」というけど、プランクトン食だろ、コイツ。流れの中もガンガン移動するけど、腰を据えて生活してるのは、こういう泥底の止水域なんだろうか。



止水域代表のお魚その1、ウォーキングキャットフィッシュ(学名 Clarias batrachus)。現地名ンゴロ。こいつがまとまった数安定して捕れるのであれば、キープの楽さと異常すぎる生命力から、ムベンガの餌にもってこいだと思う。でも、こいつらが好む環境からして、まず刺し網では捕れないんだよなぁ。


代表その2、アフリカンスネークヘッド(学名 Parachanna insignisか、Parachanna obscure)。現地名ムングス。バンバ曰く「この辺りはムングスはあまりいない。もっと上流まで行くと大きなやつがたくさんいる」とのこと。首都の闇市では大きな個体が生きたままゴロゴロ売られているけど、それらはその上流域で捕って輸送してきたものらしい。確かに、マイピリ周辺でムングスを見たのはこれが始めてだった。


・・・コンゴ川で止水を好む魚と言われて、僕の中で想像がつくのはせいぜいクララとパラチャンナくらいかも。期待していたパントドンは見つからなかったけど、初めて見る魚もポツポツと。アフリカンナイフ(学名 Xenomystus nigri)。


スパイニーイールの一種。こいつは本流の流れの中でも見かけた。


これはテンション上がった、アフリカンパイクカラシン(学名 Hepsetus cuvieri)!


オオトカゲの赤ちゃんも。溺死したか、既に息絶えていた。



「ムスワロ君のマックスサイズ」

いつもムベンガ釣りの餌として活躍してくれているムスワロ君。いつも刺し網で調達しているのは、大きくても30cmくらいの個体ばかり。


マイピリ村を去り、ガベへ向かう道中、遠目で見ても結構デカいナマズを船に引き上げているおじさんを発見。近づいていくと・・・「ムスワロだよ」とおじさん。こんなデカいの初めて見た。


普段餌にしてるサイズのとは違い、悪そうな目つきしてる。ムスワロのマックスサイズはこれぐらいみたい。コンゴ川沿いの村人は比較的口にする機会の多い魚だけど、首都では高級魚でなかなか手に入らないとか。


ちなみに、こいつはデカくなるタイプ。市場で見かけたこのナマズ、一目見て、僕のコンゴ川アナザーストーリーの主役に抜擢!首都で延縄用フックが安かったので(マスタッド製)、このナマズを考えて100本買っちゃった(笑)


2018年3月23日金曜日

コンゴの釣り旅話 その4

「村の猫」

コンゴの公用語はフランス語だけど、ローカル言語もあって、マイピリでは「リンガラ語」が使われている。リンガラ語で、猫は「NYAO(ニャオ)」と言う・・・可愛い。


2年前にもいた、村の商店でネズミ捕りとして飼われてる猫さんに再会。ニャーニャー鳴くからニャオ。ちなみに、犬は「NBOA(ンボア)」。



「コンゴの芋虫」

アフリカの生き物って、魚も虫も、振り切った姿かたちをした奴が多い気がする。


ペットボトルにギチギチに詰め込んで捕獲し、ご満悦なバンバ君。村人が食べるらしい・・・。



「マイピリ小学校」

いつもヤギに占領されて糞まみれの教室には一応黒板があって、お魚の絵が描かれていた。


村で一人の学校の先生。彼は魚釣りが好きすぎて、授業を放棄して、毎日川へ出かけてしまうという・・・殆ど毎日休校です。



「村のお医者さん」

「唇に黒い縞模様が出てる。マラリアのサインだ」バンバが言う。アモコがマラリアを発症した・・・ホントか?(汗)

マイピリ村には医者がいないため、ひとつ上流の村まで向かう。女医さん「注射を打つわよ」・・・僕「バンバ、彼女を信用しても大丈夫?すごい不安なんだけど」バンバ「彼女は学校で学んでいない。彼女の夫が医者で、先に死んでしまったから、彼女が医者になった」・・・ハァ!?!??


それから数日間、女医さんに毎日注射を打ってもらって、アモコは数日で元気になったけど・・・。


2018年3月22日木曜日

ムベンガ再戦 その2

【2018年2月4日】マイピリ滞在3日目(ムベンガ釣りはお休み)

 ガベからマイピリ村までの道中、スクリューに何かを巻き込んだようで、エンジンの調子がかなり悪い。だましだましで初日は釣りに出たけど、本格的に修理をしないと、この先の日程を乗り切ることは難しそうだ。というわけで、アモコがローカル船に乗ってエンジンを首都のブラザビルまで輸送し、2日かけて直してくることになった。他にエンジンを探したけど見つからなくて、今日はムベンガ釣りに出られない。ブラザへ向かうアモコを見送ってから(ホントに2日で帰ってくるのか、すげー不安・・・)、ミミズを調達して小魚釣りに出ることにした。


以前に記事で書いたことがあるけど、コンゴのミミズはちょっとヘン。日本のと全然違う。


無風でクソ暑い中、木をくり抜いたローカル船に乗り込み釣りに出る。あまりの暑さにバンバもテンション低め。村の海(川)坊主達は素っ裸で水浴び中。ちなみにこの村では大人が裸で水浴びをしていると、村長が怒り狂って飛んでくる。伝統的な何かで、子供は良くても大人はダメらしい。


今日のキャプテンは新顔のポンフィー。手漕ぎでマイピリ川を目指して出発した。道中、バンバがミミズの入った洗面器を、一眼を入れているバッカンの中に仕舞おうとしていて、全力で止めた。「暑いから、ミミズが弱っちゃう」・・・バッカンの中に入れて蓋した方が、蒸し焼きになって死ぬだろうよ。バンバ君、他のコンゴ人とは明らかに違うけど、たまーに振り切った形で「アフリカ」を発動させてくる瞬間があって、気が抜けない(汗)


 この日はミミズの調達にてこずって、村を出たのが昼前だった。「ザイールまで行って、ミミズをとってきてやるよ!」というおっさんが現れ、「ミミズを採るためだけに国境越えていくって面白いな」とお願いしたけど、結局いつまでたっても帰ってこず、見かねたポンフィーがサクッと調達してきてくれたのだ。はじまりからグダグダの一日だったので、書くこともあまりなく、写真だけで省略。

 マイピリ川はコンゴ川に流れ込む小さな川で、水が澄んでて綺麗。村人たちはここで水を汲み、飲み水にしている。僕らはコンゴ川でムベンガを狙って、その帰りにここで水浴びをしていた。水温もコンゴ川よりだいぶ低くて、ひんやり気持ちいい。


ミミズを餌に仕掛けを投入すると、現地で「サルディーン」と総称される地味目な小魚がポツポツと釣れてくる。



シクリッドの一種だと思うけど、ちょっとチョウセンブナっぽい。こいつらが浅場でネストを張ってて、ミミズを落としたら次々釣れちゃう。僕が釣ったのは全部リリースした(バンバは釣った魚全て船中に投げ込んでキープ・・・苦笑)


「数の暴力」とか言われたりするぐらい、日本のピンスポットで大繁殖しているテラピア君(これ、テラピアだよね・・・?違うかな・・・?)。マイピリ近辺ではレアフィッシュで、ほとんど見かけなかった。


流れの中にミミズを流すと、こいつがポツポツと。「これはローカルでなんて言う名前?」とポンフィーに聞くと、「ケンゴ、これはムベンガの赤ちゃんだ!」と言う。ちげーだろ(笑)


「ムベンガの赤ちゃんだ!」と騒ぐポンフィーにケラケラ笑っていたら、ホントにムベンガの赤ちゃん(15cmくらいの)が、ミミズに食ってきた!バレたけど。写真はないけど、この数日後にバンバもミミズで20cmほどのムベンガを釣った。幼魚時代はミミズでも何でも食べるみたい・・・あの獰猛さからしたら、そりゃそうか。


【2018年2月6日】マイピリ滞在4日目 ムベンガアタリ1、ウキバイト1

 今日はエンジンを借りることができ、餌も調達できたので、ポンフィーの操船でムベンガを狙って釣りに出ることができた。アツシポイントで、流し始めてすぐ、沖に流していたウキに小型のムベンガがバイト(ウキバイト、結構よくある)。次は昼前、手前側の仕掛けに来た。一気に糸が引き出されアワセるが、「ガッ!」と弾かれた感触があり、針掛かりしなかった。


【2018年2月6日】マイピリ滞在5日目 ムベンガアタリ2

 約束通り、アモコがブラザから帰還してホッとした。ポンフィーと僕ら3人で釣りに出た。コンゴ川は不思議な川で、刻一刻と流れが変わっていく。朝イチは全く流れが効いていなくてムベンガの気配はゼロだったけど、徐々に流れが出始めて、予感がしてきた。正午前、沖側仕掛けにムベンガがバイト。勢いよく糸が引き出されたけど、すぐに離した。仕掛けを回収してみると、餌にしていたザンダはズタボロになっている。


 次のアタリは14時頃。「バン!」とメインPEと船を縛っている輪ゴムがはじけ飛び、凄い勢いで糸が引き出されていく。長く送り込む意味がないような気がしてきていたので、竿を手に取り即ベイルアームを返すと、物凄い力が加わってきて引きずり込まれそうになった。バンバが肩を抑えてくれて、体勢を立て直す。流れに乗ってドラグを鳴らしながら一気に走った直後、沖で黒いムベンガが水面に浮いた!最初のヤツよりデカい!口じゃなく、体に掛かっている。
 ムベンガは水面で流れを受けてしばらく浮いていたが、水しぶきを上げ、再び水中へ消えた。・・・そして、それから二度と、浮いてくることはなかった。何と、川底に仕掛けがスタック・・・。


スタックしてからしばらくは魚が掛かっている感触があった。アモコがロープに岩を結んで、それを投げ込み、ムベンガを脅かして仕掛けを外そうと頑張ったが、ダメ・・・人間追い込まれたら頭が回る。脳ミソをフル回転させて即席の回収機を作り投入すると、一発で外れた!でも、ムベンガはもういなかった。ワイヤーにはムベンガ特有のヌルがこびりついている。しばらく膝が笑っていて、岩場に上陸してコケた。まともに歩けない。


悔しがるアモコに、「こればっかりは想定外だった。もう全部運だから、これからもベストを尽くして頑張っていこう!」と声をかけた。必死に何度も重たい岩を投入してくれたアモコに感謝を込めて、握手。


 その日の夜。アモコがどこからか大量のビールを調達してきて(僕は酒飲まない)、僕に向かって「you pay」と言った。・・・ハァ!??結局払わなかったけど、コイツ・・・。


【2018年2月7日】マイピリ滞在6日目 ムベンガアタリ1

 連日アタリが続き、ムベンガの気配が濃い。昨夜、「明日は釣れると思うよ?」とバンバが悟ったようなドヤ顔で言ってきたけど、「そんな簡単じゃないよ」と返した。・・・そんな僕の予感が的中したのか、今日は子ムベンガがひとかじりしただけ。夜が蒸し暑くてなかなか寝付けず、疲れが抜けない。


【2018年2月8日】マイピリ滞在7日目 ムベンガアタリゼロ

 この旅、初のアタリゼロの一日。やっぱり僕の予感は当たっていたようだ。ポイントの賞味期限があるような気がしてきていて、明日はアツシポイントより下流を見に行ってみることにする。