2018年4月30日月曜日

スリナム・タライロン釣行記その4

【2015.8.9】

 タライロン遠征初日。ダリック宅を出てから川まで車で約3時間、そこからボートで遡上してタライロンの魚影が濃いエリアを目指す。ダリックが用意してくれた車に荷物を積み込んで、いざ出発!


前回の旅では、釣りを終えた帰り道、タイヤがパンクして村までヒッチハイクする羽目になった。その失敗を踏まえて、今回はスペアタイヤを持っていくことにする。


今回は準備万端!なはずが、出発して何の変哲もない赤土の道を走っていると、速攻パンクしやがった(笑)


ダリックも苦笑い。スペアタイヤに付け替えにかかると、「え!これ左右で大きさ全然違うんですけど」とヨシ君。ダリックが素早くタイヤを交換して、気を取り直してジャングル奥の川を目指して進んでいく。


いきなり急停車させて、銃片手に走り出したダリック。「ポーウィス(美味い鳥)がいたんだけど、逃げられてしまったよ」。


しばらく走って赤土の道からジャングルに突入した。川まではあと数キロ、このぬかるみをパンクすることなく走り切れるか、ちょっと不安だ(笑)。


前回は乾季で、道のコンディションは問題なかったけど、今回は雨期明け、いや、明けきってなかった。車で突破していく水たまりには、魚がいる・・・!


ダリックの強引なドライブテクで難所を次々突破していったけど、ついにスタックしてしまった。ここを越えなければ川にたどり着けない。


ダリックはチェーンソーで周辺の木を切り倒し、僕はマチェットで細木を叩き切り、ヨシマサ君がそれらを引きずり集め、ぬかるみを埋めていく。足場を固めて突破する作戦だ。


そして、なんとかかんとか突破できた!ようやくたどり着けたタライロンリバー、に、流れ込む支流。前回よりもかなり水位が高くて、水も濁っている。


船に荷物を積み込み、出発!走り出してすぐ、「そこのバケツに入っている弾を取ってくれ!!」というダリック。弾を手渡すと、その場から即一発「バン!!」、ポーウィスを仕留めた・・・しかも、「もう一羽いる」と、船を岸に付け、ジャングルの中へ抜き足で消えていき、「バン!!」・・・出船10分で、既にポーウィスを2羽・・・やっぱりこの男、本物だ!僕らには一切ポーウィスは見えなかった。


支流を抜けて、本流をトローリングしながら今日の野営地を目指す。CDマグナムを流していくと「ドン!」と何度かアタックがあった。全部ノラなかったけど、ブラックピラニアだろう。


野営地に到着し、タライロンの夜釣りの為、餌を調達しに釣りに出た。野営地周辺の餌確保のポイントは、こんな感じの岩礁エリア。タライロンを狙うのは、同じ岩礁地帯でも、流れがほぼ無いようなプールがメインになってくる。


餌に最適なマトリンシャンを狙って、マイヤーパンサーを早引きすると、狙い通り一匹!この魚に関しては乾季の方が多いようで、この旅ではこの一匹に留まった。


ポイント移動中、CDマグナムを流していたヨシマサ君にヒット!「うぉー、ピラニアー!!」アマゾンファーストフィッシュ、アマゾンらしい魚で良かったね!


トローリングでよく当たったエリアを陸っぱりで狙ってみるとすぐに僕にもきた。明らかに乾季よりもブラックピラニアの魚影が濃い!


ヨシマサ君も連発させている。アマゾン旅の前はアジアを放浪していた彼。「僕がアジアで2か月かけて釣った魚の数、初日にして越えてますよ!」と(笑)。アマゾンは優しい。ダリックも嬉しそう。


大きなブラックピラニアが4匹。餌が十分に集まったところで基地へ戻った。


 今日はご飯はなし・・・本物のアマゾン男、あまり飯を食わない人が多い気がする。僕らは村で買ってきたパンを齧りつつ、夜のブッコミ釣りの準備に取り掛かった。日が暮れてからいよいよタライロン釣りに出撃。野営地から20分ほど走ったところで岩場に船を着けた。ブラックピラニアを捌き、切り身にしていく。


一投目は一匹だけ確保したマトリンシャンを真っ二つにして、頭の方をブッコんだ。前回タックルが弱くて太刀打ちできず、悔しい思いした。今回は完璧なガチタックルで、ロッドがMX-∞、リールがアアベットラプターのL、糸にいたってはザイロン系の「シーハンター50号」(笑)。至近距離でのブッコミで、掛けたら即ブチヌキな釣り。糸巻量は要らない。


投入してから20分ほど、「ギィィィーーー」とクリックが鳴って糸が引き出された。ちょっと送り込んでからアワセると「ギャギャギャギャーーーー!!!」と物凄い突っ走りで、岩の上でコケそうになった。ダリックが体を支えてくれたけど、フックオフ・・・「デカいタライロンか、レッドテールだ!!」と悔しがるダリック。あのパワーは、多分レッドテールだろう。悔しい・・・。

 間髪入れず、2投目、マトリンシャンの下半身をブッコむ。水面を照らして見て回っていたダリックがタライロンを見つけたようだ。ライトで水面のピンスポットを照らし、「この辺りに、ピラニアの切り身を叩きつけろ」と言う。ヨシマサ君が「バチーン、バチーン」とやって沈めると「・・・来た!!」小型のタライロンを一気にブチ抜いた!


ヨシマサ君とタライロンの写真撮影をしていると、背後で「ギィィィーーー」と再びクリックが鳴る!急いで駆けつけて、岩の上で踏ん張りが効くように体勢を整えてから、思いっきりアワセを叩き込む!魚はそのまま突っ走っていくけど、4、5発追いアワセをかました。


ダリックの応援にこたえる余裕もなく、息を切らしながら一気に寄せて、水面に浮いたのは・・・デカいレッドテールキャットだ!ヨシマサ君が尻尾を掴んでランディングしてくれた。


実はレッドテール、これまで釣ったことがなかった。しかもコレ、すげーデカい。確か、117cmだったかな?ブギュブギュ鳴いて可愛い。こいつは撮影後、リリースした。


岩礁エリアで走らせたくないため、親指で思いっきりスプールを抑え込んだ結果、親指の腹に火傷を負った。釣りに支障が出るだろうから、水膨れを潰して、アロンアルファでガチガチに固めておく。


その後はヨシマサ君が50cm程のタライロンを追加し、ダリックが即撲殺(ので、写真は無し)。少しポイントを移動して、ヨシマサ君がタライロンを1バラシ。ダリックが手釣りで巨大なブラックピラニアを釣った。


アタリは頻繁にあるけど、なかなかノラない。ヨシマサ君がマンジィーと呼ばれる小ナマズをスレで釣ってたけど、掛からないアタリの犯人はこいつかな?夜が更けてくるとアタリはなくなっていき、野営地へ帰ることにした。基地への道中、ダリックが夜のジャングルに消えていき、すぐにラバ(巨大ネズミ)を仕留めてきた。


こめかみを撃ち抜かれ、目玉が飛び出している。この暗闇で、ものの10分ほどでこのネズミを仕留めてきたダリック。見えてる世界が僕らとは違うんだろうな。


前回の旅で、蛇やカエルを捕まえては大騒ぎする僕を見ていたダリック。僕のためにツリーボアの一種を捕まえてきてくれた。


さて、明日からはタライロンの魚影が濃いという上流を目指し、遡上する。大きな期待を胸に、ジメジメしたハンモックで眠りについた。

2018年4月29日日曜日

スリナム・タライロン釣行記その3

【2015.8.8】

 翌朝、宿を出てダリック宅へ向かった。高床式で、住居下のスペースにハンモックを吊らせてもらった。今夜はここで泊まらせてもらうことに。


釣欲が爆発寸前のヨシマサ君。村近くの川へ釣りに行くことになった。「将来の夢はFISH FINDERさ」という、年の離れたダリック弟と、その相棒(犬)スパイキーが案内してくれる。


川に着いてみると、かなり広大。これは釣れなさそう・・・と思いきや、一投目でキタ!なんと、ヨシマサ君とお互いスリナム一投目でのダブルヒット。


スリナムのウェルカムフィッシュは小さなピーコックバス。幸先良いぞ!でも、ヨシマサ君のヒットルアーのロングA、ダリック弟に貸すと帰ってこなかった・・・(笑)。貴重な弾が・・・(パラマリボのドブでターポン狙った時も一個失くしてた笑)。


この2匹はたまたまだったようで、それ以降は反応なし。日が昇ってとにかく暑いので、家に引き返した。ダリック家は、ダリック夫妻と美人姉妹な娘二人。年の離れたダリック弟は近所の別宅に住んでいる。


ダリック家には動物もたくさんいる。肩乗りのオウムが家族の一員で、


リクガメもペットとして飼っていた。こないだ来た時、「こいつは美味いぞ!」と言う「ポーウィス」という鳥もいたけど、食べてしまったのか?いなくなっていた。


「夕方からナマズを釣りにいこう!ラウラウ(ピライーバ)が釣れるよ!」というダリック弟。ナマズ釣りの餌にする小魚を釣るため、ミミズをみんなで掘り返して、再び川へ向かった。


「ここで60cmぐらいのラウラウを釣ったんだ!」というポイントで、ミミズを餌に小魚釣り。釣れたのはマンジーと呼ばれる小ナマズと、ピラニア。


ピラニアが釣りたい!というヨシマサ君には釣れず、悔しがっていた。この後、嫌になるほど釣ることになるけど(笑)


日が暮れてから、釣ったピラニアを餌にブッコミをかけるもアタリはなかった。出国してから6日、思っていたよりも時間がかかったけど、水辺に立てて楽しい一日だった。いよいよ明日からが本番、タライロン遠征が始まる。


2018年4月28日土曜日

スリナム・タライロン釣行記その2

【2015.8.6~7】

 朝目を覚ますと、大雨だ。前回の旅で現地人から「雨期明けが巨大タライロンのベストシーズンだ」と聞かされて、それを狙ってきたんだけど・・・。


 今日は一日かけてタライロン村へ移動する日。前日手配した車は「10時に宿まで迎えにいく」とのことだったけど、案の定10時を過ぎても来ない。「ま、これが南米だから!」と楽観視してたけど、お昼を過ぎても来ない・・・。現地の知人たちに電話して助けを求めたけど、何も解決せず。そして、この旅のキーパーソン、タライロン村のダリックに何度も電話するけど、電波のないところにいるとかで全く繋がる気配がない。南米らしい、想定内だけど、今回は短期滞在。時間を無駄には出来ない。明日からどのように動くか考えていると、16時過ぎになって乗り合いの車がやって来た・・・(笑)


ようやく移動を開始!となりの太ったおばちゃんに圧迫されて、体操座りで縮こまって車に揺られる。暑くて身動き取れず、ズボンは汗でビチャビチャ。辛い。


ガタガタの赤土ロードを揺られること11時間。


日付はとっくに替わり、7日の午前3時頃、やっとタライロン村に到着した。宿へ向かうとオーナーがダリックのことを知っていて、日が昇ったらダリックの家まで行ってみてくれるとのこと。とりあえず、今は疲れ果てて眠ろう・・・。


【2015.8.7】

 翌朝、疲労困憊だったはずが7時には目が覚めてしまった。今日、無事にダリックに会えるだろうか・・・?


しばらくすると宿のオーナーがバイクに乗ってやってきた。「ダリックは遠くの川へ遠征中で、今日の夜か明日の朝には帰ってくるそうだ」とのこと。ダリックには出国前に国際電話で連絡をしていて、そのときは「7日には川から村に帰ってきている」と言っていたんだけど・・・。釣りができる日程が削られていく・・・。
 でも、ダリックに会えることはとりあえず確定した。ホッとして、食べ物を求めて村の中の中華系スーパーへ。スリナムはド僻地にも中国人が進出していて、この村にも数人、チャイニーズがいた。


宿のキッチンを借りて(宿というか、普通の空き民家に泊めさせてもらった)、インスタントラーメンを作ってみる。


やることもないので、軒先をチョロチョロしているトカゲを釣ってみる。


カナヘビ系?こいつはパラマリボの街中にも普通にいたけど、田舎にくるとうじゃうじゃいるな。


トカゲ釣りにも飽きてきて、タライロン用のブッコミ仕掛けを作ったり。


軒先でヨシマサ君とダベっていると、村の子供たちが遊びにきた。


村のドブにはなぜかグッピー(?)がたくさんいて、それを捕まえようと、子供たちはドブにダイブしている(笑)


スリナム、全てが程よくて癒しの国だけど、子供たちは元気すぎる。みんな、笑顔がキラキラしてて可愛いね!


ずーっと子供たちの相手をして、お疲れのヨシマサ君。


 結局軒先で待ちぼうけて一日が終わってしまった。「もしこのまま数日待つだけになるなら、他の村人と交渉して釣りに行こうか・・・」とヨシマサ君と話し合うも、気が進まない。ダリックとじゃなきゃ、巨大タライロンには巡り合えない気がする。日が暮れて再びラーメンを作っていると、「コンコン」とノックされ、振り返ると見覚えのある顔が。「ダリーーーック!!」
 夕方村に戻ったというアマゾン男は、疲れ果てていた。川から帰る道中、車が故障して遅くなったという。そして、「明日車を修理するから、明後日から釣りに行こう!」と言ってくれた!ようやく僕らの、巨大タライロンを追いかける旅が始まった。