2017年2月27日月曜日

ベネズエラ・オリノコ水系釣行記その6

【2014.3.24】ベネズエラ釣行記7日目

 学さんが帰った翌日、古田君が「ガルシアのおっさん」を紹介してくれた。


おっさんと出会ったのは川辺の通称「ババアの店」。軽食やドリンクが買えるが、雨季になると店自体が川に飲まれて営業できなくなるという、エクストリームな店だ。おっさんは一応そこのバイトみたいな感じ。
 
おっさんに店のストッカーを見せてもらうと、そこにはパボーン(ピーコックバス)の姿が。当時はピーコの種類なんて全く分からなかったけど、キクラ・オリノセンシスだろう。
 
 
 
 ガルシアのおっさんと交渉の末、バイトを抜け出してパボーンが釣れる湖に連れて行ってくれることになった。その湖は町から川を下ったところにあり、湖の畔におっさんの親族が暮らしているという。
 
本流をびしょびしょになりながらボロ船で下っていく。おっさんの船は隙間だらけで水が流れ込み、常に足元が浸水している。そんな状況の中、おっさんは自分のズボンを切り裂き、隙間に押し込んで対処していた(笑)


 川辺に船を括り付け、ジャングルを少し歩いたところで大きな湖が現れた。が、しかし。「いつもはここにあるはずなんじゃが・・・ボートがない。」どうやら、対岸に住む彼の親族がボートを運び出してどこかへ持っていってしまっているようで、湖に釣りに出れないというのだ。
 
湖はぐるっと一周木々に覆われており、陸っぱりで攻めれるような場所はないといっていいだろう。おっさんは、「アントーニオォォォーーーー!!!!」と、対岸に住む彼の甥っ子(だったかな?)に呼びかけ続けるが、返事は一切帰ってこない。
 
「アントニオは5歳じゃが、対岸からこっちまで泳いでやってくるんじゃ」・・・パボーンは釣れなかったけど、ガルシアのおっさんがツボに入って、大笑いした。あー、楽しかった。
 
そんなガルシアのおっさん、町へ帰る途中に、別の湖に案内してくれた。いや、湖というよりは、池・・・というか、水深30cmくらいしかない、大規模な水たまりか。
 
 
パボーン用に持ってきていたザラスクープを投げ込むと、次々と水面が割れる。釣れてくるのは、タライラー!ピラニアもいるようで、鰭が齧られている個体が多い。


現地では釣れすぎて感覚が麻痺しているけど、日本に帰ってくるとこの魚のありがたみがよくわかる。こんなにカッコよくて、トップにボコボコ出て、ルアーもボロボロにしてくれる良い魚、なかなかいないよね。


【2014.3.25】ベネズエラ8日目

明日から奥地遠征に出るため、今日は丸一日お休みにした。お昼にババアの店でパボーンフリット弁当を買って食べたが、鮮度が悪かったのか、生臭くて不味い。午後はあてもなく町ブラ。といっても、このメインストリートをだらだらと歩くだけ。


夜はまた食堂で炭火焼チキンを食べて(絶品)、宿の前のバルでセルベッサを飲んだりして過ごした。この町は、夜も子供たちが走り回っているような、優しい世界。


 【2014.3.26ベネズエラ釣行記9日目

 明けてベネズエラ釣行8日目。ついに今日から、10日間に渡る「ピライーバの幻影を追う旅」が始まる。「オリノコの、この支流にはピライーバがおるんスよ」という古田君。ルイとルイの奥さん、エリオスと新たな仲間のホセがナマズ旅のクルーだ。荷物を積み込んで、期待を胸に町を出発する。


「パヤーラにはこれだぜ!」とルイが見せてくれたのは、やっぱり、CDマグナム14。実はルイは毎年オリノコ川で開催されるパヤーラ釣り大会「payara de oro」で何度も優勝している、生粋のパヤーラ大好きオヤジ。写真を見せてもらったが、自己記録だという14kgのパヤーラは圧巻だった。


ルイのタックルボックスは面白いものがたくさん入っている。ヨーヅリとラパラのミノーが大半を占めている時点で(ほとんどが牙魚の噛み傷付き)、明らかにやり手であろう。中には鳥の羽で自作したというパボーン用のスイミングジグ(?)も。


今日は丸一日かけて、第一目的地の「コクイサス」まで川を遡っていく。運転はエリオス。たまに休憩しつつ、ちょこっと釣りも。ルイが手釣りで小魚を釣った。


ブラジルで「ピャーウ・フラミンゴ」と呼ばれているのと同種かな。学さんと小物釣りをした際に釣れたヤツのカラフル版だ。ナマズ釣りの餌にする。


上流へ進むにつれ、岩盤地帯が多くなり、流れも激しくなっていった。


流れが渦巻く明らかに一級ポイントに差し掛かったところで船が止まった。「アキ、ムーチョグランデパヤーラ!!(ここはでっかいパヤーラがいっぱいいるぞ!)」とルイ。待ってました、と陸っぱりを開始する。

一投目、これまで調子の良いヨーズリの発泡ミノーを渦の中へキャスト。水面を引いてくると、「ギラン!」とバイト、が、ドラグが緩んでいてバラしてしまった。それからもキャストの度に食ってくるが、焦りすぎて全部ランディングできなかった。そんな中、古田君はレッドフィンで2本キャッチ!


この頃はまだ痩せてたな、と改めて思った(笑)。


 そして夕方、ついに今日のキャンプ地、コクイサスに到着する!一日運転し続けていたエリオスは到着と同時にぶっ倒れていた。そりゃ疲れるわ。でも、「早速釣りに出るぞ」とエリオス。キャンプ地設営に必要な荷物だけを下し、古田君と僕を乗せ、再び船は走り出した。

キャンプ地周辺はどこにルアーを投げてもパヤーラが沸いてきそうな流れだ。船を留め、ナマズの仕掛けをブッコむ古田君とエリオスを尻目にルアータックルを片手にランガンしていった。

 すぐにパヤーラが釣れ、その後も数本バラシた後、激しい流れの中で着水と同時にミノーが力強くひったくられた。流れに乗ってガンガン走られ、ガリガリと糸が岩に擦れる感覚が伝わってくる。魚を追いかけ、なんとか寄せてくると、なんとモロコット(ブラックコロソマ?)のスレ掛かり!!


唇を剥くと、人間みたいな歯が生えてる。激流の中にいたけど、コイツも木の実を食うんだろうか・・・?


そして、今日はこれにて終了・・・ではなく、いったんキャンプ地に戻って夕飯にすることにした。エリオスは疲れていそうだし、僕的にはかなり満足しているのだけど、古田君は夜のナマズ釣りに向けてやる気満々だ。


コクイサスはルイの土地(?)なんだろうか、ちょっとした屋根があって、日本の公園の憩いの場みたいな雰囲気。火を起こして、今日釣ったパヤーラを丸焼きに。初日ということで、ルイが調達してきてくれたチキン2羽も一緒に焼いた。


パヤーラ、焼くと金色の脂が滴ってくる。美味い。手でむしって、みんなでバクバク食べた。


僕が釣ったモロコットはソパ(スープ)になって出てきた。ルイの奥さんの料理技術が凄いのと、モロコットがめちゃくちゃ食材として優秀なこともあり、超、超、超美味い・・・。

夕飯の後、早速ナマズ釣りに出かけた。キャンプ地前の浅場をライトで照らし、寝ている小魚をモリで突いて餌を確保していく。


 そして、満を持してブッコミをかけるが、根掛かりの嵐。ボートからの釣りであればまだやりようはあるが、夜の初場所での陸っぱり。水中の地形がどんなだか全くわからない上、キャストの度に引っかかりまくって疲弊した。

ミスキャストし、手前の浅瀬にボッチャーンと仕掛けが落ちた。しかも、そのまま根掛かり・・・「うわ、俺、この釣り無理かもしれん・・・」この先、9日間ナマズを狙い続けることに若干不安を覚えた。が、「ギュギュギューン!!!!」根掛かりした仕掛けにナマズ、ヒット。一瞬ファイトしただけでバレてしまった。

この日はそれ以外にはナマズのアタリはなく、エリオスがエイを引っ掛けて終了した。


ベネズエラ釣行記10日目に続く。

2017年2月24日金曜日

ベネズエラ・オリノコ水系釣行記その5

【2014.3.22~23】ベネズエラ釣行記5~6日目
 
 22日。学さんがこの町を出発するのは明日の朝。つまり、本格的に釣りができるのは今日が最後になる。昨夜はセルベッサが無限に出てきて酔っぱらっていたけど、一番飲んでいた古田君が最初に起き出して僕らを起こしてくれた。寝ぼけ眼で宿を出ると、いきなり目に飛び込んできたのは、牛の解体ショー・・・!辺りに漂う血生臭さで完全に目が覚めた。
 

古田君に連れられやってきたのは、初日に学さんと小魚釣りをした岩場。昨日古田君から話を聞いたとき、ここでパヤーラが釣れるイメージは沸かなかった。しかし川に着いてみると、徐々に下流側から水面がざわつき始め、僕らの目の前でパヤーラがイルカのように背中を出してライズしだした!

まず、一番下流側にいた古田君が良いサイズを釣るが、「学さんが最優先ス」と男前速攻リリース。そして、古田君の隣で投げていた学さんについに来た!!しかも、町からの陸っぱりで狙える最大級サイズ。グランデ・パヤーラ!

 
「これで心置きなく日本に帰れる!」と学さん。最後の最後に釣れて、ホント良かった!(でも、古田君、ちょっと写真がテキトーすぎねぇか・・・?笑)
 
その後、僕にもヒット!学さんより一回り小さいサイズだったが、ランディングしてびっくり。発砲素材のルアーに牙が刺さっているだけで、針掛かりしていない!

 
 その後反応は無く、日が昇るにつれ生命感はなくなり、いつものゆったりと流れる川面に戻っていった。かなりの数がライズしていたけど、背中を出してザブン、ザブンと水面を泳いでいるだけ。全然食ってこない。不思議な光景だったな。
 
 
 学さんと僕が釣ったパヤーラは2匹ともキープして、宿のオーナーたちにお土産として持って帰った。宿に戻ると牛の解体は終わっており、と殺場と同じ匂いがする空間でパヤーラを解体し、油で揚げて、血まみれの宿の皆さんと一緒に食べた(笑)学さんは日本に持ち帰るため、パヤーラの頭を煙でいぶしている。
 

それからすぐにボートで釣りに出た。操船はエリオスで、町より下流へ走る。トローリングで昨日反応が良かったエリアを流していった。常にさわやか笑顔の学さんだけど、魚との駆け引きは鬼が宿っているかのようなファイト。パヤーラ鬼斬り3連発!完全に流れに乗った学さんがポンポン釣っていくのをみているだけで気持ちよかった。
 
 
 
 
ヒットルアーは友人の石井さんからもらったK-TEN。旅のおわりに、ベネズエラの思い出が刻み込まれたのだった。
 
 
 古田君と僕はくだらない話をしながら、ポツポツと拾っていった。トローリングで「ドンッ!!」と来ると、超気持ちい。僕と学さんでダブルヒットがあったりと、今までで一番アタリの多い一日となった。 
 


 そして、今日の釣りはこれで終了。翌朝、再び夜明け前の川辺に立ったが、どういうわけか昨日あれだけいたパヤーラの群れが入ってこず、学さんのガイアナ・ベネズエラ釣り旅は幕を閉じたのだった。

 
我ら再びいつの日か・・・いや、近いうちに。世界の秘境でなくとも、どこかの水辺で集まろう!
 
学さんを見送った僕たちは数日間を町で過ごした後、10日間の遠征に出発する。追い求めるのはピライーバの幻影・・・マラリア感染までまったなし。
 
ベネズエラ釣行記7日目に続く

2017年2月22日水曜日

ベネズエラ・オリノコ水系釣行記その4

【2014.3.21】ベネズエラ釣行記4日目 
 
 朝、いつものようにルイを訪ねると、自前のロッドとタックルボックスが用意されている。どうやら今日は同行してくれるようだ。ルイと共に港まで来てみると太っちょ兄ちゃんはおらず、かわりにイケメン「エリオス」が待機していた。
 
船に乗り込み、ほんの少し下流へ降ったところで、おもむろにルイがパン(キャッサバを練って焼いたもの)を撒き始めた。すると、小魚の群れが沸き立ち、水面がパチャパチャと騒がしくなる。エリオスが手釣りで針のついたパンを混ぜ込んで、鮮やかな手つきでパクーをキャッチ!
 

その後はルイも加わり、エリオスと共に次々と小魚を釣っては船に放り込んでいく。こういっちゃなんだけど、太っちょ兄ちゃんとは明らかにオーラが違う。完全にやり手だ・・・!
 

釣れてくるのはハチェットを細長くしたような魚(後の遠征で、ジャウー釣りに良い餌となった)と、パクーの一種。

 

どうやら釣った小魚を餌にしてブッコミ釣りをするらしい。充分に餌が集まったところで一気に下流へ走った。船を止めたのは、流れが強くあたる、水深のある岸際。狙いは大鯰・・・というわけではなく、食って美味いモロコット(ブラックコロソマ)。しかし、いざ仕掛けを投入してみると、ピラニアの猛攻に合った。釣っても釣ってもピラニアばかり。
 
 
場所を少し変えて支流にも入ってみたが、こちらもピラニアばかりが釣れ続いた。
 
 
そんな中、ルイがルアータックルに持ち替えてミノーをキャストしはじめた。支流と本流の合流点に数キャストすると小さなパヤーラがヒットするが、ジャンプ一発でバラシ。ここでモロコート狙いを切り上げ、一気に本流へ移動を開始した。みよしに座るルイがポイント選択、エリオスが操船し、ルアーを通すコース決め。僕らは水深に合わせてルアーをコントロールし、あとは釣るだけだ。
 
 
 一流し目、学さんとお祭りしてしまった。回収のため巻き始めるといきなりギューンと走り始め、「学さんのに食った!」とっさにクラッチを切ったけど、学さんの方がラインブレイクしてしまう・・・。
 学さんのCDマグナムがなくなってしまったため、僕のを貸して二流し目。自分もそれまでCDマグナムを使っていたのだけど、ヨーヅリの発砲素材のミノーに変えてみることにした。あまり釣れる気がしなかったけど、無欲のルアー選択が良かったのか、パヤーラ3連発!
 

 
 
 
 最初に流したポイントに戻り、午前中最後の一流し。学さんのK-TENに良いサイズがヒット!しかし、ジャンプ一発で惜しくもバラシ・・・。これにて午前の部を終え、いったん町に戻ることになった。
 半日での釣果は、ピラニア大漁、パヤーラ3本。そして、有無を言わさず全てキープするルイ(笑)清々しい風がアマゾンに吹いていた。
 
 
いつもの食堂で昼食を取り、ルイの家に帰ってくると、古田敦士君が到着していた!予定通りトラブルなくここまで来れたらしい。ルイの奥さんによってパヤーラがフリットにされており、これまた美味しい(パヤーラ、後の奥地遠征でも色んな料理でたくさん食べたけど、この川ではモロコットに次いで美味しい魚だった)。
 
 
 昼食後すぐに釣りに出た。エリオスの操船で、今度は町より上流側を探っていく。岩場に差し掛かったところで、古田君にいきなりヒット。掛かった瞬間、「グランデパヤーラァァァ!!」と叫んでいたけど、小さかった(笑)「このサイズはイイっす」とか言ってすぐにリリースしたため写真には残っていないのがちょっと残念。「旅の一匹目の魚、写真ぐらい撮ろうや(笑)」
 

そして今日も日が暮れる・・・。 
 

 港に戻ってから岩場を陸っぱりでやってみたがダメだった。古田君曰く、早朝になるとこの辺りでパヤーラが沸いているという。明日、早起きしてやってみることになった。
 町に戻って、夜。ルイの家の隣がバルということもあり、無限にセルベッサ(ビール)が出てくる!古田君、この町ではヒーローで、大人気だ。彼の友人がたくさん集まり、楽しい夜は更けていった。

 
そして、明日は学さんの釣り最終日。ガイアナのピラルクーの時と同じく、追い詰められつつある。旅の終わりにパヤーラを手にすることができるのだろうか・・・?
 
ベネズエラ釣行記その5に続く