2020年4月8日水曜日

タンガニーカのラテスを追う その5

 「オフィス」を拠点にしてからはポイントを広大なシャローフラットに絞って、ひたすらトローリングを続けた。日に日に僕らチームの団結力は上がっていって、それに伴い釣果も伸びていったけど、相変わらず数は釣れてもサイズが出ない。アベレージは60cm前後と言ったところ。


個人的に、ナイルパーチと今回狙っているタンガニーカのラテスに関しては、サイズに拘りがある。デカいやつ、満足できる一匹が欲しい。反応があるのは基本的にマヅメ時のみで、毎日安定して平均5本以上は釣れる。でも、それだけ釣れても大型は混ざってこなかった。


 「普段、デカいやつはもっと深場にいるんだろうか?」そんな風に思い始めた頃、「デカいのは3月になれば産卵のために浅場に上がってくる。普段はディープなんだ。だからケンゴ、もっと沖をトローリングしよう」とウェイビーおじさんが提案してきた。彼はある理由から、タンガニーカのラテスに関して確かな知識を持っている(だから町を出る間際、急遽スカウトした)。そんな彼の意見もあって、違う景色を求めて大きくエリアを変えてみることにした。


水深20m、30mエリアにもラテスはいるんだろうけど、今回の装備では手も足も出せない感じ。切り立った崖がそのまま湖に突き刺さっているような景色の中、水深10m前後のゴロタ場がポツポツと点在しているエリア。そんな場所をかいつまんでチェックしていくと、ちゃんとバンパーは釣れてくる!サイズはともかく、大きく移動してきた初日に結果が出でホッとした。


新場所での2日目、早朝4時前から流し始めると真っ暗なうちにドンっときた!


「ちょっと、うんこしてくるわ」と言って船を砂浜につけて、丘の向こうへトーマスが消えていった。周りは激シャローで砂浜の岬の先端に集中して岩がゴロゴロしていている、クピの絶好ポイント。バンニェイロを遠投して、バシャバシャ引いてくると「パッカーン」と4連発!


「丘の向こうに、ライオンが3頭もいたぞ!」と、トーマスが走って帰ってきたところで(笑)トローリングを再開すると、短時間で2本追加した。魚は濃いし、このエリアも間違ってはないようだけど、やっぱりバンパーは小型ばかり。デカいのはどこにおるんや・・・。


エンジントラブルでほぼほぼ丸一日がつぶれて、新場所への移動の判断が少し遅れたわけで。決断して移動してきても小型が連発。僻地滞在日数も残り少なくなってきて、僕は焦り始めていた。

いつものように夕方に小型を数匹釣って、日没まであと僅かという時。一番アツいタイミング。遠くから「レンジャー」のスピードボートが近づいてきて「とまれ!パーミッションを見せなさい」・・・「くそ、よりによってこのタイミングで来るなよ!」・・・30分ほど拘束された後、「もうこの時間は釣りの許可がされていない。このままキャンプ地へ帰りなさい」・・・パーミッションを確認すると、確かに600to1830と書かれている・・・(全く把握していなかった、笑)。すると、トーマスがキープしていたクピをレンジャーのボートに乱暴に投げ入れた。「オーケー!!」といって、彼らは笑顔で去っていった。

「あいつらは、もう俺たちとフレンドになった。だから、ケンゴ、ノープロブレム。竿を出せ」・・・トーマス、あなたは最高だ(笑)。レンジャー達と反対方向に進み、岬を回わり込んだところでルアーを投入した。ウェイビーおじさんにも協力してもらって、竿は2本出し、どちらもスーパーシャッドラップ。


 「ストーン!!」流し始めて数分、ウェイビーおじさんが叫んだ。彼が握る竿はノされていて、ズズズーっとドラグが滑り続けている。焦って竿を受け取ると、モゾモゾと動き出した。「ストーンじゃない、これ魚だ!!」僕が竿を握ってからは大した抵抗もせず、ヌーッと浮いてきて、震える手で下アゴを掴み、一気にボートに引き抜いた。「やっっったぁぁ!!!ビッグ、バンパー!!」


この種にしちゃ別に大きくはないけど、この一匹までの過程には、僕らにしか作れない物語があった。トーマスとウェイビーおじさんと抱き合って喜びを爆発させる。最高!


MV65 バンタムXG
VAMOS(プロトのモデル)5号+80lbリーダー3m
スーパーシャッドラップ
ストロングシングル7/0イチカワ


幸福感に包まれながら、夜空の星を見上げながらキャンプ地へ戻る。アフリカ旅は辛いこと、上手くいかないことがいっぱいあるけど、ほんとにたまにこんな最高な瞬間がやってきたりする。やめらんないね。帰り道、トーマスがタバコをくれた。普段吸わないけど、めちゃくちゃ美味かったなぁ。

タンガニーカのラテスを追う その6に続く

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