「ワイヤーは餌のナマズの動きを悪くするから駄目だ」とオヤジが言い切る。最寄りの町まで出かけ、言われた通り中華製のタコ糸を購入。苦労して作った50本のワイヤー仕掛けをバラシて、全てイチから作り直した。
夕方、オヤジと浮島に上陸した。オヤジは長靴を履いているけど、僕はサンダル。すいすい進んでいくオヤジになんとかついていくけど、ふわふわ揺れる地面をたまにズボーッと踏み抜いて、一気に股まで湿原に吸い込まれる。
泥、湿気、草、虫、辛いことがたくさん、人が入る環境じゃねぇ・・・。
北海道の穴釣りでもやる「T字釣法」。木の枝をつっかえ棒にして、真冬の凍った湖で、夜通しの置き針でトラウトを捕る。「T」の‘‘横棒’’が木の枝で、‘‘縦棒’’がその枝に結んだ糸、その先にオモリと針がある。
オヤジがやってる肺魚漁は、それの究極進化バージョン。水生植物の茎をクッション性のあるつっかえ棒として、‘‘横棒’’にする。
・・・他にもキモが何点もあるけど、とにかく巨大なエチオピクスが掛かろうと、問題なし。オヤジが研究して突き詰めて、ローカルで共有しているらしい。
オヤジは穴を300か所近く所有(?)していて、うっそうとした浮島のどこに穴があるのかを、完全に把握していた。しばらく使っていなかった穴をパンガナイフで切り開いて空間を確保し、僕が作った仕掛けを設置していく。何度も浮島に足を取られながらなんとかオヤジについていって、初日は50本仕掛けて終了。
明日、エチオピクスは掛かってるだろうか・・・?(続く)
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