2017年8月22日火曜日

カミツキガメ捕獲作戦 in アメリカ

 ヘラチョウザメを釣った翌日、本流に注ぎ込む小川を散策していると、そいつは現れた。水辺を歩きながら、「ここ、カミツキガメいそうっすね~」なんて話していた直後、「カミツキいたーー!!!」と平坂さんが叫んだ。僕には水中へ潜っていく大きな黒い影しか見えなかったけど、それはアカミミガメのような「フツーのカメ」のサイズ感ではなかった。

 話はそれるけど、僕は水棲のカメが好きだ。中でも、ワニガメ、カミツキガメ、マタマタ。他にもハラガケガメ、オオアタマガメ、ヘビクビガメ、ニオイガメ、ドロガメ、ヨコクビガメ・・・といった、異形チックなやつらが大好き。好みの淡水魚(いわゆる怪魚)に通ずるところもある。・・・と、まぁ、そんな僕の性癖はともかく、目の前に憧れのカミツキガメが現れたわけである。捕獲しない手はないだろう。その場で適当な仕掛けを組み、魚の切り身を餌にして、ワナを仕掛けてみることにした。

ホワイトバスの切り身を餌にして、ワナを仕掛けてみる

 その日の夜。仕掛けを回収しにいってみると、餌をとられている仕掛けが多数。中には餌がとられた状態で、仕掛けが陸上に転がっていたり。アカミミガメやチズガメ、リバークーターなど多くのカメが生息していると思われるこのフィールド、カミツキ以外のカメが仕掛けにちょっかいをかけてきているようだ。何度か餌を変えて仕掛けを入れなおしたが、捕れたのはぱっと見アカミミのようでちょっと違うカメさんが一匹と、ブルヘッドキャットの一種と思われるナマズさんのみ。

色んなところの模様が消失気味なカメさん

かわいいナマズも釣れた

カミツキガメは掛かっておらず、翌日から別のターゲットを求めて再び大移動を開始。ここは一旦諦めざるを得なかった。


 次のターゲットはアリゲーターガー。山崎さんと平坂さんの帰国日が迫りつつあり、ガイドを付けて釣りをすることになった。「ガイドだし、余裕っしょ」と軽い気持ちで挑んでみると、これが本当に大苦戦・・・(とにかく、ガイドの腕が最低だった・・・笑)。迷走に迷走を重ね、「誰かが2メーターオーバー捕るでしょ!」と想定していた2日間のガイド釣行では、丸ボウズをくらった・・・。

小さなガーを掛けた平坂さんだったけど、川底の倒木に巻かれた・・・。リアルアリゲーターが生息する川に躊躇せずダイブ。それぐらい、精神的に追い込まれてた。

 山崎さんよりも一日早く帰国しなければならない平坂さんはここでタイムアップ。残念ながらアリガーは次回に持ち越しとなった。そして山崎さんのアメリカ最終日、自力開拓でアリゲーターガーを狙おうとしていると、「金は要らないから、俺のホームリバーに案内するぜ」とガイドが提案してくれた。・・・現実的に考えて、手漕ぎのゴムボートで自力開拓を1日だけしたところで、おそらく魚には到達することはできないだろう(大金だけ払って、何も得るものがなかった2日間のガイド釣行に意味を持たせるためだけに、最後は全力で玉砕して終わりにしようと思ってた)。彼のガイドとしての腕前をこの2日間で見せつけられていたため、かなり躊躇したけど、この提案に懸けてみることにした。

 いざ川へ繰り出し仕掛けを投入すると、なんと、すぐにウキが泳ぎだした。山崎さん、ついに念願のアリゲーターガーをキャッチ!

普通、ガイドつけてここまで迷走することはないでしょう笑。でも、これで良かった!

あまりにヘッポコすぎて、あの温厚な平坂さんをキレかけさせた、迷ガイド・ネイルおじさん。ホームに来た途端、サクッと2本釣らせてくれて、帰り際には自宅(自分で建てたのか、明らかに構造がヤバい笑)のシャワーも貸してくれた。また会いたいな。

そして僕らのアメリカ釣り旅は終焉を迎え、山崎さんも帰国の途についた。一人になって、まずやるべきことは、もう決まっている・・・。

「戻ろう、カミツキガメを捕りに」(空港からの道のり、600キロ・・・)

 カミツキ捕獲作戦は、シンプルに「数打ちゃ当たる戦法」・・・手持ちの仕掛けを可能な限り組み合わせ、一本一本に餌を付け、投入。頻繁に仕掛けを回収しては餌を替え、投入しなおし・・・を釣れるまで繰り返す。かっこよく言えば、「攻撃的な置き針」だ(笑)。カミツキガメポイントへの道中、水辺があったら寄り道し、餌となる小魚を捕獲していった。

目が赤く、ちょっと南米のオスカーっぽいブルーギル

素晴らしく美しいブルーギル。いわゆる「サンパーチ」

クラッピー、の小さいやつ

多分、ホワイトバス!ストライパーと混在していた

こっちがストライパー。ホワイトバスよりだいぶスマートな体形

バスの50アップ。ストライパー狙いの高速巻きミノーに食ってきた

 一日かけて餌を十分に調達し、カミツキガメのポイントまで戻ってきた。車から降り、水面に目をやると・・・「アレ!??」沖の方をスイスイと泳ぐ巨大なカメ・・・「カミツキいたー!!!」

以前見かけたものと同じ個体?カミツキってこんなに泳ぎ回るカメなの・・・?

見失わないように目で追っていくと、どんどん岸に寄ってきた。大急ぎでタックルを組み、カミツキガメの進行方向に向かって魚の切り身をキャスト。しばらく待ったが反応はなく、姿を見失ってしまった・・・。

 想定外の、いきなりのカミツキ出現に動揺しつつ、仕掛け作りに取り掛かった。日本で帰化したカミツキガメを何度も釣っている平坂さん曰く、「そんなに力は強くない」とのことで、スナップやスプリットリングを使い、かなり適当にワイヤーとフックを組み合わせていった。

ワイヤーにそこそこの大きさのシングルフックを装着。

手持ちの針やワイヤーをできる限り組み合わせていった結果、25本ほどの仕掛けが完成した。それらに餌を付けては投入、仕掛けの糸をそこらへんの木に結び付けていく。

カミツキは写真左奥に泳いでいき、水中へ消えた。その辺りにまとめて仕掛けを投入する。

水面の黒いやつ、全部ガー(スポッテッドとロングノーズ)。仕掛けにもガーがちょっかいかけてくることが予想された。

 仕掛けを全て入れ終わり、1時間ほど待機した後、早速一回目の回収に取り掛かる。「餌は、鮮度が良いものの方が食いが良いはず」・・・ということで餌が残っていても新たに付け直していくが、ガーや他のカメにいたずらされているのだろう、餌をとられている仕掛けが多い。

 餌の付け替えに時間がかかりつつ、最後の5本。ふと見ると、ピーンと糸が張った仕掛けがある。「・・・なんか掛かってる!!」無我夢中で糸を手繰ると、若干重い感触が。なんの抵抗もなくスルスルーと寄って来て、ドン、と着岸・・・「うわ、マジで釣れちゃった・・・!!!」

「フーフー、シューシュー」と激おこなカミツキガメ

なんと、一回目の仕掛け回収で、掛かっていた最初の獲物がカミツキガメだったのだ。ボガグリップで下アゴをつかんで確保し、陸にずり揚げる。こいつ、カミツキにしては相当デカくないか・・・?

この時が、自身、カミツキファーストコンタクト。一般的なサイズがどんなものか想像がつかなくて、かなり大きな印象を受けた。

無事にロングノーズペンチで針を外せて一安心。しかし、困ったのが写真撮影。こいつを捕った場所が、足場が不安定な急斜面。そこから開けた場所まで行くには、斜面を越え、藪を漕いでいかなけらばならない。気合でカミツキを持ったままトライはしてみたが、重すぎて無理だった・・・諦めて、この場でできる限りたくさん写真を撮らせてもらうことにした。

御尊顔。いいカメだ・・・。甲羅には同居人のヒルが。ボガグリップをはめてしまえば、カミツキ攻撃の心配もなく、まじまじと観察できた。

この前足で踏ん張る感じ、カッコイイ。

肉々しい前足

尻尾と後ろ足。遠近感もあるけど、爪のデカさがすごい!

お腹側。この肉感が堪らない。実際可食部も多くて食べても美味いらしい。そのうち、日本で。

撮影に付き合ってくれて、ありがとう、カミツキガメくん

 個体を目視して確認している以上、もちろん捕れるまでやるつもりだったけど、予想以上に早かった。日本でも一部の地域ではかなり繁殖しているカミツキガメ。帰化したやつを捕獲しにいってみようと考えていたこともあったけど、憧れのカメへのファーストコンタクトが、原産国での天然個体で本当に良かった!「世界三大怪亀」コンプリート達成へ向け、第一歩(笑)この日の夜は川辺にテントを張り、一人ビールで乾杯したのでした。

 翌朝、またしても同じカミツキ君に出会った(笑)バイバイ!

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