2017年8月19日土曜日

ヘラチョウザメを探す旅 in アメリカ

 
 2014年の6月、僕は北米旅の入り口、アメリカにいた。一番の目的は「ヘラチョウザメ」。次いで「アリゲーターガー」。他にも挙げ出したらキリがないくらい、魅力的な生き物たちがいる。

今回、「ちょうどアリガーのロケやってるから、手伝って!」と声がかかり、アメリカに入国した日の夜、テキサスにて小塚拓矢さんテレビクルーと合流。翌日からの釣りでは、針を使わない「縛り釣り」で、アリゲーターガーを捕獲!アメリカ旅はここから始まったのだった。

ロケ終了間際、小塚さんがデカそうなのをヒットさせるも、沈む倒木に糸を巻かれてラインブレイク・・・したが、その糸を僕がボラ針でひっかけた。連携プレーでキャッチ(笑)

餌に食いつかせてワイヤーの輪っかでクチバシを縛るのだが、やっぱりバレまくる。最後の最後にようやく縛って確保した!

ロングノーズガー!こちらも釣り針は使わず、化学繊維のロープをほぐして束ねた「モフモフ」に食いつかせて、歯に絡めてキャッチ。



 楽しかった2日間のロケ終了後、小塚さんたちに分かれを告げ、ヒューストンの空港へ車を走らせる。そこで今回10日間旅を共にする「山崎の兄貴」「珍生物ハンター平坂さん」と合流。いよいよこれからが本番、ヘラチョウザメを探す旅が始まった。まずは山崎さんがネットで抑えてくれていたとある川を目指し、800キロの大移動。夜通し自分と山崎さんで交代し運転し続け(平坂さんは国際免許持ってこなかった・・・!)、日が昇った頃、ようやく目的地に到着した。

最初の目的地に到着。皆、小さなワームの胴付き仕掛けでストライパーを狙っていた。

が、しかし。足場は整備され、釣り人もいっぱい。期待していたような雰囲気ではなかった。とりあえず釣り人に話を聞いてみると、「ヘラチョウザメ?うん、いるよ」とのこと!中にはボーガンを持っている人もいて、「ガーとかヘラチョウザメを撃つんだ」という。しかし、ほとんどの釣り人が小さなワームを投げており、小型のストライパーが数匹釣れているだけ。うーん、ここじゃない感がすごいする・・・。

川の近くにあった釣り具屋で情報取集するも、有力な情報は得られず。

バラ売りされているスナッギング(ヒッカケ釣り)フック。サイズバリエーションも豊富。

プランクトンしか食べないヘラチョウザメはスナッギングで釣る。専用の針が売っていたので購入した。パッケージ裏の「スプーンビルキング」のイラストがカッコイイ。

 近くのローカル釣り具屋で情報を得ようとするが、コレといった話は聞けず。スナッギング(ヒッカケ釣り)フックを購入し、フィッシングライセンスを取った後、もう一か所、山崎さんが目星をつけてくれていた川を目指して移動することにした。サクサクと軽快に移動しているように聞こえるかもしれないけど、だいたい一度の移動は確実に300キロ以上・・ヒューストンを出発してから未だ竿を振っていないけど、既に満身創痍気味だ。

 二つ目の目的地に到着。川幅は広く、流れも強い。いい感じ!

 二つ目の川についてみると、川幅は広く、流れも強くて太い。「ここは、ちょっと雰囲気ある感じですね・・・」しかし、この時点でもう一つ、気になっている川があった。「ここは夜に釣りしてみて、明るいうちに気になるポイントを全部見ておきましょう!」と、再び数百キロの移動を開始。ついに山崎さんも落ちて、平坂さんは相変わらず後部座席で荷物に挟まって眠っている中、スニッカーズとレッドブルを過剰摂取して運転し続けた。気合で三つめのポイントに到着するが、唖然。川がフェンスで囲まれていて、川辺まで降りられない。「・・・さっきのポイントに引き返しましょう・・・!」

 何度も意識が飛びかける中、なんとか二つ目の川に戻ってきたときには既に夕方だった。水面を観察しているとかなり速い流れの中、ロングノーズガーが次々に呼吸しに上がってきている!山崎さんと二人してガーを狙ってみるがカスリもしない。下流へ調査に行った平坂さんが気になり、合流してみると「ヘラチョウ、いました!」と!沖の瀬で、ヘラチョウザメが水面を割って出たのが見えたとのこと。「今夜は夜通しスナッギングっすね・・・。」

ドでかいストライパーが釣れていた。それを持たせてもらう僕たち。後ろの女の子の表情がウケる。

しかし、僕は頭痛と吐き気で具合が悪すぎて完全にダウンし、テントで死亡。山崎さんと平坂さんは夜の川に繰り出していった。・・・朝4時、テントに平坂さんが帰ってきた。「ストライパーとチャネルキャットのみでした・・・」とだけ呟いて、即、気絶された・・・朝、皆起き出してから話を聞くと、「脇を痛めるぐらいしゃくり続けたけどカスリもしなかった」とのこと。・・・というわけで、2日目もヘラチョウザメを探しての大移動が始まった。

今日も運転よろしくお願いします、山崎の兄貴。

 今日は、過去にヘラチョウザメを釣ったことがある小塚さんと半澤セーヤさんに貰った地図を頼りに水辺を目指してみることにした。しかし、地図のピンが打たれている場所に到着してみると、そこはただの湖のボートドッグだった・・・。さらに、「小塚さんがこう言ってました」「あれ?セーヤさんはああ言ってたけど・・・?」と完全に迷走しだした。

地図を頼って来てみたら、湖のボートドッグに着いた。ここはさすがに、ヘラチョウザメいないだろ・・・。

でも、嬉しい誤算。ミシシッピニオイガメがいたー!こーゆー系の水棲ガメが大好きなので、超テンション上がった。腹甲面積が小さいのが萌えポイント。

 ニオイガメを捕まえて癒された後、再び開拓開始。走り回っている最中、釣り具屋を発見した。情報を得ようと店に入ろうとすると、入り口にヘラチョウザメのステッカーが貼られている!

昨日買ったスナッギングフックのパッケージと同じデザインだ!

店内にはヘラチョウザメを持ち上げて微笑む釣り人たちの写真も飾られている!

確実にヘラチョウザメに近づいてきている。店員さんに話を聞こうとするも、「今はわかる人がいない」と。とりあえず地図で周辺の水辺をチェックして、近くの川まで行ってみることにした。

 川辺まで来てみると、どこか見たことのある風景。なんと、昨日3か所目に来たフェンスに囲まれたポイントの対岸側だった。こちら側は川に近づけるようで、釣りをしている夫婦がいたので話を聞いてみる。「ここにヘラチョウザメはいますか?」と聞いてみると、「スナッギングかい?」と返ってきた!詳しく聞くと、「春はこの川の下流が良い。近くに別の川もあるよ。」とのこと。下流側を見に行ってみるが川幅があまりに広く、ポイントが絞りづらい。もう一か所教えてもらったポイントに移動してみることにした。

 辿り着いたポイントは、流れが速くて太い。これまで見てきた川の中で、一番良さそうな雰囲気だ。ヒューストンを出てから風呂に入っていなかったので、まずは水浴びすることにした。山崎さんはライトタックルでスピナーをキャストし始めた。水浴びを終え、スナッギングタックルを組みに車に戻る。

久しぶりのお風呂。北米旅の間、ベネズエラで入院していた時に処方されていたマラリア治療薬の副作用で、頭を洗う度ありえないくらい髪が抜けまくり、だいぶ薄くなった・・・。

タックルを組んでから川に戻ってくると、山崎さんがホワイトバスを連発していた。

 ホワイトバスを連発する山崎さんの横でスナッギング開始。腰まで入水し、流心の太い流れに向かってドーンと針を遠投。完全に気を抜いていたその3投目。いきなり「ドスッ!」という衝撃が手元に伝わり、流れの中で前に倒されそうになる。なんとか持ちこたえるが、同時に「ギュギュギュギュギュー!!」とリールから一気に糸が引き出された。イキナリすぎる展開に、自分含め皆、「マジ!?」テンパる。糸の先にいるのは間違いなく魚で、もうアイツ以外考えられない。水面に灰色の尻尾が見えた瞬間、叫んだ。

「ヘラチョウだー!!!」

 ヘラチョウザメに出会うまでに要した時間は2日間。キャストはたったの3投。でも、走行距離は2000キロオーバー。短いんだろうけど、とんでもなく長かった。平坂さんがそいつの下アゴを掴んでくれた瞬間、震えた。やっぱり釣り旅って、最高だ・・・!!

ちょうど霧が出てきて、辺りは幻想的な雰囲気。そんな中現れてくれた怪魚、ヘラチョウザメ。この個体は鼻が折れたままくっついており、さらに不気味さを強調させる顔つきに。

「チャターベイト君」と命名した(笑)。僕の釣り人生で、「印象的だった一匹」かなり上位にランクイン。

 プランクトン食で、鰓の形状が独特。

完全なビルを持つヤツでも嬉しかっただろうけど、鼻が折れていたことでより一層この一匹への愛着が増しました。

 写真撮影を終えて、リリース。ゆっくり流れに帰っていったそいつを見届けて、僕のヘラチョウザメの旅は完結した。さぁ、あとは山崎さんと平坂さんが釣るのみ!僕はライトタックルに持ち替え、ホワイトバスを釣りながら二人を見守る。


 僕のチャターベイト君以降、怒涛の展開だった。すぐに山崎さんに掛かるも、テイルウォーク(!)されて、バラシ。直後、180度スイングでしゃくりまくっていた平坂さんが掛けた!「がんばれ、ヒロシー!」と山崎さんとふたり、応援する。ドラグを出さずに一気に寄せて、山崎さんが尻尾を掴んでキャッチ!

ヘラチョウザメを抱き上げると、腕の中でビチビチ暴れて、身体に抱きついて(?)くる。「あぁ、グリップされた!グリップされた!」とはしゃぐ平坂さん。

そして日没間際、これまでサポートに徹してくれていた山崎さんが美しい完全個体を獲り、僕たちのヘラチョウ物語は畳みかけるようにして、幕を閉じたのでした。


最後に山崎さん。欠損の全くない、完全美個体だった。「魚釣って、久しぶりに痺れたわ・・・」

なぜか最後にロングノーズガーもキャッチした平坂さん。ガノイン鱗ぶち抜くのは流石・・・。

 この日の夜はモーテルに泊まって、3人でビールを開けてお祝いした。この後もいろんな魚や生き物を求めてアメリカをひたすら走り回る日々を送り(アリゲーターガーをガイドをつけて狙ったらボウズくらったり、平坂さんがアルマジロをすんでのところで取り逃がしたり、ヒアリの巣を踏んで全身腫れ上がったり・・・)、僕らのアメリカ旅は完結しました。

アメリカ、空がとにかく青かったなぁ。

北米旅から帰国してからは、再び山崎さん、平坂さんと高知アカメ旅。


その翌年は北海道でイトウキャンプしたり。


兄貴諸氏、色んな旅を共にして、喜びを共有して、とにかく本当にお世話になりました。最近はなかなか皆が揃うことはなくなったけど、またいつの日か、どこかのフィールドで、心震える旅をしたいですね。ヘラチョウザメ、本当に心から、最高の旅でした!

アメリカ旅・カミツキガメ編へ続く

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