2017年8月24日木曜日

オオカミウオに会いたくて 2012夏

 事の発端は、毎度ながら小塚拓矢さんの一言だった。

「道東エリア、青い二ホンザリガニとオオカミウオ、調査ヨロシク!」

「幸せの青いザリガニ」には、2010年の夏、出会うことができた。


おまけに、黄金ザリガニも。


修羅と化したヒロトさんと、石をひとつひとつひっくり返しては、ザリガニを摘み採るように捕まえて、渓流をひたすら歩いたことをよく覚えている。



 それから2年、オオカミウオについてサーチした。当時ネットには殆ど情報が出ておらず、地元の釣具屋を転々として生の声を聞こうとするも、「年に2、3本外道であがるかどうか」「幻の魚だよ」といった事しか聞けなかった。

釣具屋からは情報が得られず、次は道東エリアの遊漁船に片っ端から電話をかけていった。それでも良い話はなかなか聞けず、情報を得ることができない中、ある釣り船の船長だけ「釣れるど。あんなの釣ってどうすんだ?」と、確信を持った返事をくれた。


 2012年の8月末。ウチに一か月ほど居候していたセーヤさん、10日の休みをとって青森から釣りに来ていたケイタさん、オオカミウオのためだけに富山からやって来た小塚さん、自分を含め計4名で船をチャーター。誰もやったことがない未知の領域への挑戦。釣れるかどうかはやってみないとわからない。前日の夜はなかなか寝付けず、皆、ワクワクしていた。


出港し、30分ほどでポイントに到着。岸からそう離れていないのに水深は100m前後もある。「ニョロニョロ系の親玉、しかも根に着いている魚。それ相応のタックルを」と、自分はマグロタックルを用意してきた(後に、オーバースペック過ぎたことを実感。笑)。250号の胴付き仕掛けにイカを一本掛けにして、一気に沈める。常に小さなアタリが出続けて、アオゾイやシマゾイ、ウサギアイナメやタラ、ホッケ・・・とにかく色んな根魚が釣れ盛った。







皆、ジグに小さく切ったイカを付けて根魚を釣りまくっている中、イカ一本掛けを通していると、竿先がズーンと抑え込まれた。「なんだ?明らかにデカいぞ・・・!」重量感はあるが、殆ど抵抗することなく浮上してくる。ゆっくり、ゆっくり巻き上げ、魚体が見えた瞬間、皆で叫んだ。

「オオカミだーーー!!!」


船長が淡々とネットで掬い上げてくれて、「指持ってかれっから、気ぃつけろよ」と一言。クールな船長を尻目に、僕らはハイタッチして、全員で握手を交わした。


「船中で一本、誰に釣れても良い。なんとかその姿を見たい」そんな気持ちで挑んだオオカミウオ、この一匹がどれだけ嬉しかったか。皆、自分のことのように発狂して、祝福してくれた。が、これで終わりじゃなかった。むしろ、ハジマリだった。すぐに小塚さんに来た!


そして、それに続いて、セーヤさん、ケイタさんも。なんとこの日、船中でオオカミウオが20本近く釣れたのだった・・・!


 結局は、誰もやったことがなかっただけ。ただそれだけなんどろうけど、こんな未知の世界が残されていたことが心から嬉しかった。そこに着目した小塚さんはいつものことながら凄いし、僕も2年かけて動いて、セーヤさんとケイタさんは結果の見えない賭けにのってきてくた。このオオカミウオという未知への挑戦は、僕らにとっては小さな「冒険」だったわけです。

「こいつ、親分だな」・・・ケイタさんの一言で、オオカミウオのコードネームは「北海の親分」に決まった。



オオカミウオ後日談・・・

 僕としては、ホント、最初の一匹で終わり。それ以上釣る必要はないと思ってます。でも、2012年の初挑戦以降、周りの「オオカミウオ釣りたい!」という友人・先輩方に同行する形で、何度も再会することに。


その中で判明したのが、オオカミウオを狙って釣りやすい8月、彼らは産卵直前の状態であるということ。2015年の8月末、平坂さんがキープした個体を捌くと、お腹には成熟した卵がぎっしり詰まっていた。


また、前で一匹釣れると、かなりの高確率で後ろの人にヒットすることから、産卵に向けてペアで行動しているっぽい。船長いわく、産卵は9~10月、水深10m以下の浅場で行われるという。


つまり、オオカミウオの場合、狙って釣れる時期=産卵直前、ペアリング時期の可能性が高い。生物としての情報が少なすぎて、根拠は上に書いた程度の、釣り人目線での話でしかないけど、ここ近年のオオカミウオブーム(?)を見ていると、心がざわざわするわけです。

小塚さんも書いてたけど、自分なりのストーリーがあって、釣って、最初の一匹は食べてみる・・・っていうのは、もちろんアリだと思う。でも、最近のオオカミウオへの群がり方を見てると、どうもそんな風には思えないんだよなぁ。

雷魚や一部のトラウトの世界にあるような、過剰なノーキル、レスダメージ思想も理解できないけど、今後オオカミウオに挑戦しようという人がいたら、ちょっとだけその辺の意識を持って、挑んでもらえたらなぁと思います。


僕らの写真が勝手に使われてたり、バラエティーで「北海の親分」が連呼されてたり、SNSで頭を落とされたオオカミウオの写真が流れてきたりすると、悲しい気持ちになる。ほんと、オオカミウオは個人的な思い入れが強すぎて、メンヘラっぽくなっちゃうんだよな。笑

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