2017年5月11日木曜日

コンゴ川の珍魚その2

【コンゴ川の珍魚その2 はえ縄をやってみた】

 毎日、コンゴ川に生きたナマズやモルミルスをブッコみ、水面のウキを眺め続ける毎日。ムベンガのアタリは2日に1回あるか、ないか。炎天下で飲み水も十分になく、飯は一日一食。この釣りはホント、辛かった。ある日、そんなルーチンな毎日に楽しみを見い出すため、即席ではえ縄を作って仕掛けてみることにした。


餌はミミズ。コンゴのミミズはなんと、おっぱいがある。・・・いや、おっぱいではないんだけど、これは一体なんなんだろう。あるのとないのがいたから、生殖器官かな・・・?


ミミズ汁でぐちゃぐちゃになって不快だ。それでもこの川には魅力的な珍魚がたくさんいる(はず)。黙々とミミズたちを針に縫い刺しして、ハリスまでたくし上げていく。針持ちの問題上、はえ縄でミミズを餌にすることってなかなかないよね。


ミミズを縫い刺しした枝針をメインラインにくくりつけ、水深50cm程のワンドに沈めた。狙いはポリプテルス、プロトプテルス(ハイギョ)、ヘテロティス(ナイルアロワナ)・・・夢が広がる。うまく掛かってくれれば、それらはムベンガ釣りの餌にもなるし、自分たちの食料にもなるだろう。

 翌朝、ムベンガのポイントへ向かう前にはえ縄を回収しに行った。ワクワクしながら引き上げると・・・お、ウォーキングキャットフィッシュ(Clarias batrachus)!いわゆるクララってやつだ。


このナマズ、異常に生命力が強い。肺呼吸するため、冷蔵器具のない僻地でも好んで捕られ、市場では生きた状態で大量に売られていた。こいつもムベンガ釣りの餌として使ってみたけど、ずっと生きてて非常に扱いやすかった。が、ムベンガからのアタリはなし。こいつが通用するなら、すごい楽なんだけどなー。


しかし、この日の釣果はこのクララ、一匹のみだった・・・。30本以上は針を入れているをだけど・・・心が折れかけた。雨季のコンゴ川はホントに魚が釣れなかった(乾季の8月は、結構色んな小魚が釣れたんだけど)。
 話はそれるが、下写真、首都ブラザビルでの光景、夜の路上で開かれる闇市(?)。エタノールランプみたいなやつを灯りにして、売られているのはサルの干物(内臓入り・・・)、ヤマアラシの肉塊、ニシキヘビのぶつ切り等・・・動物の死臭が漂い、商人のおばちゃんたちが呪いの儀式中の魔女に見える。そんなカオスな空間には、超巨大なクララも売られていた。Clarias gariepinus かな。


わかりにくいけど写真中央のがそれ。下半身はぶった切られて売れたのかな。闇市のおばさん達(フロム対岸のキンシャサ)は超パワフルで常にブチ切れている。「金払えコラァ!!」と怒鳴ってくるので、隙をついて写真を撮ったり魚を触ったりしていると、ナタの刃で腕をトントンやられたりしたのだった。

 さて、コンゴ川でのはえ縄に話を戻そう。初回はクララ一匹のみだったが、僕らはまだあきらめない。場所を替え、再度はえ縄を沈めた。翌日回収するが、ぐっちゃぐちゃに絡まって、しかも根掛かってる・・・。そんな絶望的な状況の中、「グン、グン」と生命反応があった。結局メインラインが切れ、ほとんどの仕掛けをロストするという最悪な結果になったが、唯一の救いになったのがコイツ。デンキナマズ(Malapterurus electricus)付いてたー!!


小塚さん「触れよ」・・・。「デンキナマズのビリビリはそんなに大したことない」という思い込みから、普通に掴みにかかったら「ドン!」って心臓まで来るぐらいの電気ショックを食らった。え、こんな強いの・・・?古田君にも触らせようとボガグリップで掴んで近づけると、「オメー、マジでやめろや!!!」と本気でキレられた。


他に掛かっていたのは、小さなテラピア一匹のみ・・・。労力に見合わず、体力が奪われていくだけなので、はえ縄はこれでヤメにしたのだった。


でもいつか、ムベンガを終わらせたら、コンゴ川ではえ縄とブッコミをやり続けたいな。未知なる魚たちが僕を待っている。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。